2008年08月10日

小学生は褒め上手

虫かごの用意がないものだから、捕まえたセミは虫取りアミの中に入れたままにして、その状態で次のセミを捕まえていった。おもしろいように捕れるものだから、アミの中はいろいろなセミがどんどん増えていった。ヒグラシ・ニイニイゼミ・アブラゼミを合わせて十数匹が、アミの中でのひしめき合っていた。

幼い子は一番小さなニイニイゼミはさわることができたが、それより大きなセミは怖がって手を出そうとしなかった。アミの中をのぞき込んでいる時に、自転車に乗った小学生が通りかかり、アミの中をチラッと見て、
「アッ、スゴイ!」
と言うものだから、アミの口を小学生の方に向けてじっくり見せてあげたら、
「すごいセミですね」
と賛辞の言葉を言い残して去っていった。

幼い子に、
「そろそろ逃がしてあげようか」
と話しかけている時、先ほどの自転車に乗った小学生が、数人の友だちを引き連れて戻ってきた。アミを指さして、
「ホラ、すごいセミだろ」
と言ってみんなにアミの中を見るようにうながした。小学生たちが私と幼い子をグルリと囲んで、アミの中をのぞき込み、それぞれが驚きの声を発した。

「ツクツクホウシがいる」
と一人の小学生が叫んだのを聞き逃すはずはなかった。
「それはね、ツクツクホウシではなくて、ヒグラシだな」
と訂正したのは言うまでもない。
「ツクツクホウシは、もっとあとにならないと出てこないヨ」
と教えてあげることも怠らない。
「ツクツクホウシは、夏休みが終わるころに鳴きはじめるんだよ。夏休みの終わりを告げるセミだね」
つい調子に乗って、余計なことまで言ってしまった。

ついでに、セミを指さしながら、
「これがアブラゼミ、これがニイニイゼミ」
と教えてあげた。
「よく知っているな〜」
という声がどこからともなく聞こえてきた。セミの名前を教えることで、こんなにも小学生たちの尊敬のまなざしを浴びるとは思ってもみなかった。

「このセミは、なに?」
とたすき掛けにした虫かごの中を指さしながら質問する小学生がいた。見ると、透きとおった羽根で、ヒグラシより一回り大きなセミが入っていた。
「これはね、ミンミンゼミだね。なかなか捕まえられないセミだよ。スゴイね!」
と賛辞のお返しをしておいた。

小学生たちの輪が解けたあと、幼い子と一緒にセミを逃がしてやった。
posted by 里実福太朗 at 00:00| 里ふくろうの日乗