こんなにうれしいイベントを逃す手はないと、チケットはすでに2枚購入済みである。あとは試合当日、つまり明日ですな、いかにして良い席を確保するかだ。ほぼ全席自由席だから、先着順で席は埋まっていくということになる。そのためには入場列の順番が、できるだけ前になるようにしなければならない。そのためには、できるだけ早く球場に駆けつけなければならない。となると、一週間も前から球場前にテントを設営するような気合いが入りすぎた人も現れるかもしれない。
球団側もそういう事態が起こるかもしれないことを危惧して、チャンと手を打って、順番確保のためのある手段を認めているのである。それが「シート貼り」という順番確保の方法なのだった。最初はなんのことか良く分からなかったが、良い席を確保するために必死で調べてやっと分かった。
前日に試合がない時は、「シート貼り」は前日の午後7時から行って良いことになっている。そこで夕方、明日の「360°ビアスタジアム」のために、わざわざ幕張のマリンスタジアムまで出かけて行き、シートを貼ってきたのだ。
家を出たのは5時少し過ぎ、電車を乗り継いで海浜幕張駅についたのは6時頃だった。7時までにはまだ間があるので、駅前のコーヒー店で時間をつぶし、外を行き交う人の姿を眺めて過ごした。会社がひけて家路をたどるサラリーマン諸氏が、列をなして通り過ぎていった。なんだか懐かしさを感じる光景だった。
夕闇せまる海浜幕張駅前

ここでノンビリと時間を浪費したのが良くなかった。6時50分頃にマリンスタジアムに着き、入退場ゲートに向かうと、そこにはもうかなりの列ができていた。数えてみるとざっと80人くらいは並んでいた。7時からシート貼りが始まるのだから、それまでに行けばいいやと思っていたのが間違いだった。シート貼りの前から、すでに順番取りは始まっていたのだ。
7時までの10分足らずの間に、私の後に十数人の人が並んだ。7時になると、先頭に並んだ人から順に、用意してきたシートをコンクリートの床に貼った。シートの大きさは、特に指定されていなかったので、人それぞれでいろいろな大きさのものを貼るのだ。A4用紙程度の大きさのものでも小さいなと感じるのに、もっと小さいものを貼り付けている人もいた。


私といえば、家でブルーシートに氏名と人数をあらかじめ書き付け、持参していた。ほかの人が貼り付けているものと比べてみると、持参したものがいかにも大きく、そのまま貼るのがためらわれ、ブルーシートの周囲を折り曲げて、できるだけ小さくして貼り付けた。

20分ほどで、7時前から並んでいた人は、すべて貼り終わってしまった。その後も一人二人とパラパラやって来くることは来たが、たいした人数ではなかった。7時半頃には、ゲートの周辺には人気がなくなった。いささか拍子抜けの感であった。これでは、7時半頃に来たとしても、入場列の順番はたいして違いはなかった。

ここが先頭
