なにしろギャラリーで行われたのだから、20人ほどの観客が入れば、満員状態になってしまう。しかし狭い会場の方が、かえって間近で観ることができて臨場感も増す。会場の雰囲気にドップリと浸って、濃密な時間を過ごすこともできる。「武蔵野はちみち団」のコンサートも、そのようなライブだった。
その夜の編成は4人、ボーカル・アコースティックギター(ハーモニカ)・ベースギター、それに加えてドラムス代わりの打楽器、珍しい楽器ということだったが、残念ながらその名称を聞き逃してしまった。その楽器が刻む大げさでない音が、会場の広さにとてもマッチしていて、心地よいリズムを生み出していた。
注:立ってマイクを握っている人は、「武蔵野はちみち団」のメンバーではありません。喜一山です(念のため)。
アユミギャラリーのライブは、今回で14回目となるそうだ。現在行われている写真展「人間漂流」も今回で14回目となる。共に14回目となるのは、人間漂流展のオープニングパーティーとしてライブコンサートが行われていたからということのようだ。
続けることが大切だとはよくいわれることだけれど、10年を超えて続けるのは並大抵のことではなかっただろう。興味対象が次々に変わってしまって、どうも長続きしないなという自覚のある者は、そう思うに違いない。
演奏された10曲ほどの中で、特に印象に残ったのは、「君のまちに行こう」という曲だった。哀愁を帯びたスローテンポな曲調の歌は、よく練って創り込まれていて、そしてよく歌い込まれていることも感じられた。それぞれの楽器が、それぞれの個性を出しながらもうまく調和して、間奏ではギターが心のこもった音色を奏で、曲の最後は、ベースギターが低く柔らかな響きを残しながらフェードアウトしていく。何回でも聴いてみたくなる曲だと言ってもよいだろう。
YouTubeに、彼らのコンサートを録画した動画が載っている。音質が悪いのと、「君のまちに行こう」がないのが残念だが、ライブの雰囲気を味わうことはできる。
旅人(たびにん)
楽しき脱走
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