ドバイ国際空港は、アラブ首長国連邦のドバイにある空港で、エミレーツ航空が拠点とする巨大ハブ空港である。2011年の旅客数は5,000万人を超えて過去最高を記録し、2012年の上半期は、2011年の同時期と比べると、13%増の2800万人近い旅客数を記録したそうだ。
それに対して成田国際空港は、2011年の旅客数は前年比17%減の2800万人を超える程度であった。成田空港では夜間・早朝便が制限されていることや、震災の影響で外国人客が大幅に減少したことを考慮しても、ドバイ空港との差は歴然としている。
巨大ハブ空港という名に違わず、早朝の4時過ぎの到着にかかわらず、きらびやかな照明が真昼より明る光をまき散らし、歳末の繁華街のように搭乗待ちの客たちでごった返していた。
ドバイ空港を立つのが現地時間の8時10分だから、4時間近くここで過ごさなければならない。ともかくだだっ広いから、何かを買い求めるというあてもなく端から端まで歩き回り、たまに店の中に入って冷やかしたりしているうちに、特に退屈することもなく時間は過ぎていった。
前回の旅行で使い残したドル紙幣を持って来たので、それを使って買い物をしてみることにした。ドルは使えるが、おつりは現地の通貨であるディルハムになると聞いていた。なるべくかさばらないものを物色していると、折よく本屋さんがあったので旅の記念にUAEの地図と来年のカレンダーを買い求めることにした。念のため若い男性店員に(カタカナ部分はかたことの英語)、
「スミマセーン、ドルハ使エマスカ」
と尋ねたところ、使えるという返事だった。そこで買い求めたのが次の地図…55ディルハム、日本円で1200円程度(1ドル80円として)…と、カレンダー…45ディルハム…だった。
帰国時にも立ち寄ったドバイ空港で、時間つぶしにお土産品を見ながらブラブラ歩いていると、
「こんにちは」
と日本語で声を掛けられた。どうせろくでもない物を高い値段で売りつける魂胆だろうと思い、無視して通り過ぎた。少し歩みを進めてから、旅行中チャイニーズと間違われることが多かったのに、ジャパニーズと見極めて日本語で声を掛けてくれたのだから、話だけでも聞いてみようと思い直してきびすを返したのだった。
声を掛けてきた若い男性は、チョコレート製のサンタクロースの人形を示して、
「コレハ日本製デアルヨ」
と勧めてくれる。
「日本ニ行ッタコトアリマス」
「エッ、ドコ?」
「北海道」
暑い国に暮らす人は、寒い所に行ってみたいらしい。
そんな縁もあって、日本製だと言って勧めてくれているのかもしれないが、日本から来て、日本製だと分かっている物をお土産として買って帰っても、笑い話にもならない。相手にしてみればリップサービスでそう言ったのかもしれないが、日本製だと言われても買おうという気持ちなど起こってこない。そう言うと…夫人の通訳で…
「ホントハ、スイス製ダヨ」
と何食わぬ顔で言い直した。変わり身の早さにいまいましさを感じたものの、日本に来てくれたことだし、調子がいいだけで人はよさそうな若者だったので、二つ買い求めたのだった。
そのチョコレート製のサンタクロース人形は、一つ20ディルハム、今度はユーロで支払った。
〔1ディルハム(Dhs)のコイン〕

posted by 里実福太朗 at 23:50|
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