2010年07月06日

もうすぐ七夕(2)…国会丼

国会図書館6階の食堂は、国会議員や職員だけでなく、一般の人も利用できる。前回来た時も利用した。その時は1時をだいぶ過ぎていたので、人の姿はかなり少なくゆっくりと食事をとることができた。今回はまだ12時をまわったばかりで、混雑していることは覚悟していたが、実際にはそれほどでもなかった。

メニューに「国会丼」なるものがあることは、以前書いたことがある。その時は食べそこなったが、今回は最初からそれに決めていた。券売機に500円を投入し食券を購入して、丼物コーナーで係りのオバさんに手渡せば、
「国会丼、入りました」
と、食堂全体に響き渡りそうな大きな声で威勢良く叫ぶ。普段から利用している人は、たぶん国会丼などは注文しないのだろう。食事が終わるまで、一度も同じ声を聞くことはなかった。たまに利用する者が、物珍しさに誘われて注文するということなのだ。

「国会丼」を式で表すと、
(牛丼+カレー丼)/2+温玉
ということになる。言葉で示せば、丼飯の上に、牛肉とカレーとが半々ずつかかっていて、その境界線の中央に温玉がのっているということになる。一つのドンブリで同時に二種類が味わえる、一度で二度おいしいのだから欲張りな人にはうってつけの食べ物だ。

さて、国会丼をガツガツと掻き込んでいる時、食堂の奥の方からどこかで見たことのある人物がやって来た。近づくに従って明らかになってきた相貌は、あの長妻大臣にソックリだった。他人の空似なのだろうか、いやいやここは国会図書館であって、本来国会議員のための施設だから、大衆的な食堂であっても議員によっては利用することもあるに違いない。しかし大臣ともなれば…そんなことを考えている間に通り過ぎてしまい、券売機の方に向かっていった。

それにしてもよく似ていた。こちらに近づいて来る時に、食い入るように見つめていた当方には目もくれず、周囲の視線を拒絶するように前方の一点だけに目を注いでいたその人は、通り過ぎたあとで思い返してみると、どうしても長妻厚生労働大臣であったと思われて仕方なかった。しかし確証はない。

その人が食堂を利用するなら、券売機前に並んでいるはずだ。残りの「国会丼」を掻き込んで、もと来た道を券売機まで戻った。果たして、その人は並んでいた。後を向いていたため顔を見ることはできなかったが、その人が手に携えていた事務封筒には「厚生労働省」の文字が記されていた。
posted by 里実福太朗 at 00:00| 里ふくろうの日乗